紅い瞳の王に恋をした…。
ほんの小さな土地を納める領主の娘では、
到底その恋が叶うことはないのは理解していた。
王が自分のことなどどうとも思っていないことも理解していた。
戦争で引き裂かれる恋が星の数ほどあることも理解していた。
流行病におかされた自分の命が長くないことも理解していた…。
剣を手に取れないのであればこの命を差し出すまで、
純潔の魂を代償に剣の化身と契約を交わす。
化身が私の代わりに剣を振る。私の命が武器となる。
どうぞ、この【武器】をお使いください、
褒美も名誉もいりません。
愛してくれとも言いません。
ただ、貴方の胸の片隅に私の名前を刻んでほしいのです。
私の名は―――