これは朝露とともに消える恋物語。
昔々、人間の夢を食べる夢喰いの少女がおりました。
夢の世界に住む彼女はずっと独りぼっちでした。人の夢の中に出ても朝にはその夢を食べてしまうからです。
ある日、夢喰いの少女は恋をしました。
いつも同じ夢を見る寂しそうな横顔をした男に…
なぜいつも同じ夢を見るのかと気になっているうちに段々と惹かれていったのです。
彼女は毎晩、その男の夢に現れ夜の間甘いひと時を過ごし、朝には男の夢を食べずに自分の記憶を男に残していきました。
【想い人との甘い時間《夢喰い》が《夢》をみた】
しかし夢とはいずれ覚めるもの、男の夢を食べなかったことが災いしてしまう。男も毎晩夢に出てくる少女のことを好きになってしまっていたのです。
「夢の中でなら彼女に会える…」
男は昼夜構わず彼女に会うために薬に手を出してまで眠るようになりました。次第にやつれていく男、このままではいずれ死ぬことになる…。
~夢喰いの少女は決断しました~
男の中に残る自分の記憶ごと彼の「夢」を食べつくしてしまおうと…。
これは朝露とともに消える恋物語。
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