オリジナル小説「少年の嵐!」の挿絵用に描いたものです。
信男「もうすぐ夏休み、今は短縮授業で早く帰れるから気持ちが少し楽なんだけど、
急にお母さんの都合で転校が決まっちゃった。お父さんが病気で亡くなって3か月がたって、
働くには世慣れていないお母さんだったから、職場の人と人間関係が合わなかった事が、
いつも無理をして笑顔をつくるお母さんの顔から何となくわかった。
疲れもかなりたまっていたと思う。
僕もまだ太陽のように明るかったお父さんの顔がいなくなって日が浅いせいか頭の中に鮮明に焼き付いて離れなくて・・・。
お父さんとの思い出の場所のこの東京を離れてお母さんの実家の近くの福井に引っ越すと聞いた時は僕もつらかったけど、
不思議と今はワクワクとした感情があふれているんだ。
僕の心の中の水槽の鉢がステンドガラスのようにカラフルに色づきはじめたように、
何かが起こる予感。鉢の中の魚がピチャンと音を立てて跳ねるように・・・。